しわくちゃになったら、会いに行きます。
恋か、愛か
「ただいま……」
ダークブラウンの重い扉を開けて電気を付けると、目の前に鬼の形相でお姉ちゃんが立っていた。
思わず悲鳴が漏れそうになって、慌てて抑えこむ。
耳を塞ごうとした瞬間、それはもう近所迷惑レベルの叱咤が飛んだ。
「ただいまじゃない! 何時だと思ってるの!? 帰るのが遅い!」
耳、痛いよ、お姉ちゃん……。
あたしが蚊の鳴くような声で10時、と言うと、お姉ちゃんは更にヒートアップした。
「10時もとーっくに過ぎてるわよ! 彰也の方が帰りが早いって何よ!」