しわくちゃになったら、会いに行きます。


 助かったぁ。


 泣きそうなあたしの元に近づいてくる彰太くんが、本気で神様に見える。


 あぁ、神々しい。




 「昨日、上の空で歩いてたから。今日もまた迷ってるんじゃないかと思って」




 素敵な笑顔を浮かべているわりには、キツイお言葉をいただく。


 本当のことだから、あたしは言い返せない。


 苦笑混じりに「こっち」と誘導してくれる彼は、あたしの数歩先を影もないまま歩きはじめた。


 当然、足音もなければ、砂利を踏みしめる音も、一人分だけ。


 ……なんだか、空しいなぁ。


 ふぅ、とため息を漏らした。また、幸せが逃げちゃったな。


< 99 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop