天体観測の夜は月に願いを…
観測 3
美咲「月が出てないとホント暗いなあ。」
夜空を見上げて呟く。
暗闇の中に人影が見えて、一瞬体が強ばった。
美咲「誰?」
戸塚「俺だ。何しに来た。」
人影が戸塚だと知り、一気に安堵する。
美咲「何しにって、星を見に来たに決まってるでしょ。」
戸塚「ああ。……」
戸塚はどちらかというと無口で、ぶっきらぼうだけど基本的には優しい。
それは幼稚園の時から変わらない。
私たちは幼馴染だった。
小さい頃は家も近かったのもあり、とても仲が良く一緒に遊んだ。
大好きだった。
優しくて面白い誠ちゃんのお嫁さんになりたかった。
でも、あることが原因で高校に入るまで、親しくしていなかった。
二人が成長しお互いを意識し始めた頃、戸塚のその容姿に女子たちが
騒ぎ始めた。
いつも一緒だった私に対して突然、嫌がらせが始まった。