天体観測の夜は月に願いを… 

観測 3


美咲「月が出てないとホント暗いなあ。」


夜空を見上げて呟く。

暗闇の中に人影が見えて、一瞬体が強ばった。


美咲「誰?」

戸塚「俺だ。何しに来た。」


人影が戸塚だと知り、一気に安堵する。


美咲「何しにって、星を見に来たに決まってるでしょ。」

戸塚「ああ。……」


戸塚はどちらかというと無口で、ぶっきらぼうだけど基本的には優しい。

それは幼稚園の時から変わらない。

私たちは幼馴染だった。

小さい頃は家も近かったのもあり、とても仲が良く一緒に遊んだ。

大好きだった。

優しくて面白い誠ちゃんのお嫁さんになりたかった。

でも、あることが原因で高校に入るまで、親しくしていなかった。

二人が成長しお互いを意識し始めた頃、戸塚のその容姿に女子たちが

騒ぎ始めた。

いつも一緒だった私に対して突然、嫌がらせが始まった。
< 66 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop