それでも僕は君を離さない
「考えてくれないか？僕とのことを真剣に。つまり一般的な普通の軽い付き合いでなく、もっとこう、上手く言えなくて悪いが。」

「通じ合える感じになれればいいってことですか？」

「奈々、今すぐどうにかしたい。」

彼は私の耳元に近づいて言った。

私は顔が赤くなったか

耳が真っ赤になったか

その両方かもしれないと思い、固まった。

「帰ろう。ここから駅まで距離あるんだ。歩ける？」

「はい。」

彼はすぐに私の手を握った。

「今度は土曜日の夜に会おうか？」

「どうして夜なんですか？」

「愚問だな。決まっているよ。奈々と二人きりになりたい。朝まで一緒にいたい。」

「私といて楽しいですか？」

「それも愚問だな。」

「そうですか。」

お互い家は逆方向だった。

家まで送りたいという彼を私はこう言って制した。

「帰りながら今日のことを考えたいんです。一人で。」

「わかった。ありがとう。気をつけて。」

後日またメールし合う約束をして駅で別れた。

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