それでも僕は君を離さない
坂下透吾。

私よりかなり年上のはず。

社内では大先輩だ。

しかもイケメンの。

「突然で悪い。」

「あの、私のメアド誰から聞いたのですか?」

「社内のPCで社員名簿を見たんだ。」

「そうですか。」

「明日休みを取っただろ?」

「はい。」

「ぼくも休みを取ったんだ。」

「そうですか。」

「それでもし時間があったらと思って。」

彼はその後も続けて何か言っていた。

私は全く聞いていなかった。

頭の中が混乱していた。

休日が終わったと思った。

「あの、私はいろいろ予定があるんです。」

実際には予定など何もないけれど断る理由が他になかった。

「何度も聞いて悪いが、君のその予定の中で少しでいいんだ。僕に時間をくれないか?」

「・・・・・」

「ごめん。困らせて。」

彼の声が沈んでいた。

「どうして私なの?」

「それは直接話すよ。会ってくれたら。」

「少し考えさせてください。一度電話を切ってもいいですか?」

「わかった。考えが決まったらかけて。メールでも構わないから。」

「わかりました。」

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