それでも僕は君を離さない
私は電話を切り、途方に暮れた。

携帯の暗くなった画面を見て

もやもやした気分のままだった。

時間はたっぷりあった。

私に緊急な用事だと何一つない。

彼に割く時間ですって?

例えあってもそうするつもりはなかった。

一体私に何の用があるのかしら?

全く思いつかなかった。

彼とは部門も違い、業務上の接点も何もなかった。

朝、会社のエントランスで顔を見かける程度だ。

社内のカフェテリアで他の社員たちと話しているのを見かける時もあった。

明日丸1日こんなことに悩まされるのは我慢できないと思った。

『11時頃でしたら外出できます。午後は予定があるので。』送信。

『ありがとう。11時半に新横で待ち合わせよう。着いたらメールください。』着信。

『わかりました。』送信。

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