それでも僕は君を離さない
「どこかへ留学していたのか?」

「いいえ。」

「じゃ、何?」

「派遣で特養のヘルパーをしてました。」

「ヘルパー?」先輩は驚いていた。

「そうです。」

「いつ資格を取った?」

「3年の終わり頃です。」

「だから4年のギリギリになってチームに入ってきたのか。」

「そうです。」

「奈々。」

「はい?」

「これ以上俺を振り回さないでくれ。で、坂下とはどういう状態なんだ?」

私は言葉に詰まった。

先輩はなぜ透吾さんを知っているのかしら?

「別れたのか?」

「よくわかりません。」

「答えになってない。」

「距離をおいてます。」

「彼がそう言ったのか?」

「そうです。」

「現在進行形じゃないか。」

「そうですね。」

「君は相変わらず恋愛にうといな。」

「どういう意味ですか?」

「彼は君に夢中だ。気づかないのか?」

「それくらいわかります。」

「どうするんだ?このままで彼が納得するわけないだろ?」

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