そっと優しく  抱きしめて
γ.意外な提案
「やぁ、華井さん、君から僕をご指名とは嬉しいな。」

「お時間を割いて頂いてありがとうございます。」

「君のためなら何時間でも構わないよ。僕に相談って何かな?」

「はい、先日野瀬さんがおっしゃったことを考えたのです。存続性のある商品とは何かと。」

「すごいな。あのひと言ですぐ動くとは。社の方で働いてもらいたいくらいだ。」

「新しい商品を6点考案しました。過去の商品リストを眺めていたら虚しくなってしまって。」

私の言葉に野瀬さんは目を細めた。

「なぜ虚しいんだい?」

「私の商品は全て紙製です。使い終わったら可燃ゴミです。私はゴミを売ってきたのです。ペーパー・ラボは紙くずを扱っているのかと誰かに思われているに違いないと思ったら、悔しくて悲しくなってしまったんです。だから全く違う新しい商品を売りたいを思ったんです。」

< 12 / 34 >

この作品をシェア

pagetop