Secret Rose
いつの間にやら、時計の針は5時半を指していた。
さすがに学校も閉まってしまうが、母からの連絡はまだ来ない。
茜はいつしか机に伏せて眠ってしまっていた。

ガラッ

自習室の扉が開いた。

「おい、はよ帰りやー」

施錠係の先生が見回りにきた。しかし返答がない。
茜はイヤフォンが耳栓代わりとなっていて、気づかないまま眠っている。

「おーい。もー!誰やねん」

先生が茜に近づいても全く起きる気配がない。
イヤフォンから重低音が漏れ出している。

「起きろー」

先生がそういって茜の肩にポンと手を置くと、茜はびっくりして飛び起きた。

「ぅわあ!!」

「うわ!!」

茜の声にびっくりした先生も大きな声を上げた。
ちょうど自習室の前を歩いていた茜の担任が、2人の悲鳴を聞いて駆けつけた。

「どうかしましたー?」

「え?あ、何でもないですー!村前、はよ帰れよ」

まだ外は激しく土砂降りで、雨は上がりそうにない。むしろさっきよりもひどい。

「こんな雨降ってんのに、傘さしたくらいでは帰られへんし」

「文句言わんと、はよ!みんな帰って、学校に残ってるの村前ぐらいやぞ」

「はーい・・・」

茜は渋々教室を出た。
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