Secret Rose
しばらくして、母が宿り木の枝を数本持ち、部屋に戻ってきた。そのまま新聞を数枚取り宿り木に巻いて、切り口の辺りにゴムを数回巻きつけた。

「今日これ持って行きね」

「んー」

茜はお椀に口をつけながら返事をし、味噌汁を飲み干した。

母と入れ違いで台所へ行き、流しに食器を置いて部屋に戻り、制服に着替えて携帯から充電器を抜き、マナーモードに切り替えポケットに入れた。まだ早いが鞄を取り、部屋から出てリビングを通り、宿り木を手に学校へ向かった。

凍てつく風が耳を刺してとても痛い。
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