歪んだ愛しさ故に
 
高い場所で、小さくなっていく街が見たいと……、
自分がどれほどちっぽけな存在かと……、


それが見たくて乗った観覧車。


だけど頂上を上った今
あたしが外の景色を見ることは許されなくて……。



「た、くっ……息できなっ……」

「なら、するなよ」



重ねられたキスは
どこまでも深く、甘いものへと変わっていった。



初めて、キスだけでは物足りないと思った。

もっともっと相手が欲しいと思った。



遊び続けた10代。
決して少なくはなかった男の経験人数。

だけど欲しいと思ったことは一度もなかった。


ただ今を楽しみたいだけでしていたあの頃。

それとはまったく違う感情を持ち合わせた今。





「家まで我慢できねぇかも」




その言葉が、あたしの感情を高ぶらせた。
 
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