だから私は雨の日が好き。【花の章】





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スノードロップ。

天地創造の時。

雪には色がなく、花達のもとを訪れました。




『私に色を分けてもらえませんか?』




花達は口々に言いました。




『貴方にあげる色などない』と。




そんな雪に、

『私の色をあげましょう』と

一輪の花が言いました。




真っ白な、花。

雪の耳飾を意味する、スノードロップ。




雪はとても喜びました。

自分に色を与えてくれるなんて、と。




雪は感謝の印に、冬の間中、花を守り続けました。

雪の中でも枯れない。

そんな強さを持った花。


雪が溶けても咲き続ける凛とした花。





待雪草

(マツユキソウ)。

雪に守られ、春を待っている花。







俺にも『色を与えてくれる』、

そんな存在が。


また、現れるだろうか。




待っている。

春を。




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