お姫様と若頭様。【完】














「…ぁ………ッ…ゅず……楪!!」









ハッとして振り返る。



彩狼の奴らは全員外へ出したから
この倉庫には俺たちしかいない。





だから余計、
こいつの…ソウの声が響いた。















ソウもあの場面を
彼女の近くで見ていた。


彼女まではいかないが
相当心に傷を負っていた。

















「おい楪、しっかりしろよ、なぁ…。





お前も…
お前もあいつと同じになんのかよ?






ふざけんなよ。








お前は何回傷ついたら自由になれんだ?






お前ばっかが傷ついて良い訳ねぇだろ!















頼む…頼むから……いくな、楪」











ソウの悲しい声が響き、
まるで耳元で囁いている様にも感じた。







思わず俺の目にも涙の膜が張った。








あの時と同じ…
今日は夕日が綺麗なんだ。










今だってもう、
あの時の夕日でさえトラウマなんだ。




夕日を見て、もう綺麗だなんて
思えなくなっちまったんだ。



ユズ…お前はこれ以上、
ソウや俺たちから

夕日を…

仲間を…

楽しみを…

幸せを…



奪わないでくれ。
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