お姫様と若頭様。【完】



「えっ…?」



黒蓮じゃ…ない?



「それはまぁ…別名だ。


俺らは紅蓮とその同盟の傘下のトップの
族だ。つまり、紅蓮とは敵対してない。


まぁ今回のことは俺らの中でも極秘事項
だからここの幹部しか
お前がここにいることを知らねぇ。


俺ら傘下は紅蓮の姫を
"神"のように崇めて来た。


紅蓮を変えて誰にも負けない全国№1を
保っていられたのは紛れもなく、
姫という守るべき者が出来たから。


だから俺らは姫が絶対。
















そんなある日、情報に特化した俺たちは
姫が狙われていることを知った。


終世…半端なく汚い族。


姫や紅蓮を守らなくてはならない俺たちはそんな時あることを思いついた」


そして私の目をじっと見つめる彼。






























「それがお前の誘拐。



そして、紅蓮と姫の関わりを断つこと」






















それが私や紅蓮を守る唯一の方法。












「…だから…
手を出さないでいてくれたんだね」


「あぁ…刃牙だって、零波だって、
達充だって…皆姫が大切なんだ。


あんな態度をとってたけど、
あれは全部演技で…。

俺の思いつきに快く賛成して
ここまで守ってくれた。


…全部、お前への思いがあってこそだ」







「違うよ…きっとそれだけじゃない。







…私よりなにより、
あなたを尊敬してるからよ。


守ってくれて本当にありがとう…。


私っていつも守られてばかりで…
本当、参っちゃうなぁ…あはは……」


渇いた笑いしか出て来なくて…
もう本当、泣きそうだよ。





こんなに思われてたってことが
なによりも苦しい。





私は皆に守ってもらうような人間じゃ
ないのにって。








紅蓮を守ろうと思って離れたあの日。





それは偽りで、
私が守られに行った日だったんだ。








温か過ぎて…優し過ぎて…
途轍もなく胸が苦しい。


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