お姫様と若頭様。【完】


誰がいつ言ったかなんてはっきりとは
覚えていないけど、
きっといつか誰かが言っていた。










"同情と自己犠牲と優しさは違う"








まさにその通りだと思う。





彼女は感受性が強くて、
自己中心的で、
そして、とても優しかった。





感受性が強くて、
誰より他人の苦しみを理解し、
一緒に苦しむ彼女。




他人が苦しむことを嫌い、
誰よりも前に立って
みんなを包み、守る彼女。




自分より他人優先で、
助けを求める人を決して放っておかず
真っ先に手を差し伸べる彼女。












表は。








裏を返せば、



自分の過去と重ねて
相手を勝手に可哀想だと思い込む。



他人の盾になって自分を犠牲にして、
誰かが悲しむことも考えない。



優しいフリして実は誰よりも自分を嫌う
愚かな彼女。




なぜ…なぜ周りを見ないのか。




こんなにも苦しんでいるのが
わかるのに。


彼女が傷つくことで苦しむ人は
こんなにもたくさんいるし、

彼女が守ってばかりいるとなんだか、
俺たちが頼りない気がするんだ…。



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