お姫様と若頭様。【完】
使える足や口でさえ、
恐怖から使い物にはならなかった。
どうして私は
こんなにも無力なんだろう。
私の憧れるあの人は、
綺麗で強くて優しくて。
きっとこんな人たちにも襲われるなんてことなく上手く切り抜けるだろうに。
なんで私はこんなにもダメなんだろう。
あの人に憧れていろんなものを身につけたのに、あの人にはまるで敵わなくて。
あの人のようになりたいと強く願っているのに全く近づけなくて。
こんなにも辛いなら…ここで諦めてしまってもいいかな?
私ばっかりなんて思うけど…
結局悪いのは自分自身なんだ。
周りから何を言われても
凛としていればよかったし、
そもそもそんなこと言われないように
すべきだった。
私があの人みたいな素敵な人だったら
誰からも好かれて憧れられて、
私みたいに呼び出しなんてされなくて。
呼び出しなんてものにホイホイついて行く私も本当は悪い。
何されるかわからないのに。
そんな曖昧でフワフワとした弱い気持ちが今回のことに繋がった。
…やっぱり、私が悪い。