お姫様と若頭様。【完】
大きな手で肩を掴まれたような感触。
振り返ろうと体を後ろに向けようとする
けど壁に押さえつけられ、
身動きが取れない。
その人は全く知らない人…たち。
男子複数人
怖い…怖い…怖い…!
その人たちの目が獲物を見つけた獣のようにギラリと光って私を離さない。
「いやっ…いやっ!」
肩を押さえつけられ、手を掴まれているせいで全く動けない。
私が見せる抵抗は、彼らにとっては嬉しいようだった。
「やっぱ抵抗された方が萌えるよな〜」
「それにこの子アタリだし」
語尾におんぷでも着いてしまいそうな程
楽しそうに話す彼らに恐怖しかない。
ニヤニヤとした気持ち悪い笑みを、
避けることも遮ることもできない。
こんな無力な自分に、
涙がポロポロと溢れ出した。
触れているところが気持ち悪い。
彼らが向ける視線が嫌。
掴まれている腕が痛い。
罵声をたくさん浴びせられた挙句、
帰り道襲われるなんて不憫だ。
私なんて……。
そんな思いが一気に涙となって
溢れ出したようだった。