お姫様と若頭様。【完】



そして彼女が車に乗り込むと即座に抱き寄せたヨル。

誰も盗って喰いやしねぇのに。

それともなんだ、離れてる時間の一分一秒でも惜しいってか?


俺がそんなことを考えているとは勿論気づいていない彼女はそんなヨルを見て恥ずかしそうに「もうっ」と言ったが、言葉とは裏腹に頬は緩んでいる。

対してヨルは笑顔を見せた彼女を見て優しく目を細めた。


そして車が動き出すとヨルは彼女の頭を引き寄せ自身の膝に乗せた。

これは彼女が傷ついている時に必ずやる今や恒例と化している動作。

きっと彼女も気づいているはずだ。
ヨルが彼女が隠すその何かに気づいているということに。


だけど彼女も彼女だ。

ヨルの女ってだけあって、かなり気が強い頑固者。きっとどうやったって口を割らないだろうから。

誤魔化しが上手い彼女

そんな彼女をヨルはいつもどんな心境で見つめているのだろうか?

こればかりは常に隣にいる俺にだって理解することは叶わなかった。



歯痒いと、どうしても思ってしまう。



こんなにも二人は想い合っているのに。

なのに二人はどこか、
お互いに遠慮している。


本当に言いたいことを、絶対言っていないような気がする。




こんなにも自分にできることは何もないのだと実感させられることはあっただろうか?
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