プリンセスと5人のナイト!?

お嬢様。お坊ちゃま。



翌朝。



「ふぁ〜。眠い…」



朝7時に起きるのが日課だった私は、今日もいつも通り7時に起きた。


私は顔を洗うために洗面所向かう。


そして、洗面所の扉を開けた時…



「あ…」



昨日のデジャヴが私を襲った。



そう。そこにいたのは他でもない誠くん。


ピンク色のパジャマを着て、同じピンク色の髪の毛は後ろで1つに結ばれていた。


いつ帰って来たんだろう…。



「おはよ、誠くん。」



「…………。」



オー。無視ですかい。
まぁ、私はめげないけどね!


「いつ帰って来てたの?」



「…………。」



…オールスルーするつもり?ひどいな。



「誠くん?」 



「…………。」



………もういいや。

朝は皆機嫌が良くない時だものね。

私は誠くんに話しかける事を諦めて顔を洗う。

誠くんはそんな私を尻目にして、洗面所を出て行こうとしてたんだけど…



「…そーだ。」



何かを思い出した様にピタリと止まってを見た。



「ねぇ…オカメちゃん。」



「な、何っ?」



私を見る誠くんの顔はとても妖艶に笑っていて…朝からのそんな顔は、私には刺激が強すぎた。



「オカメちゃん、処女なんだってね?蒼空から聞いたよ。」



「処女…?」



そう言えば、蒼空くんは昨日もそう言っていた。…処女って何?



「その様子だと、本当に未開拓らしいね…」



「はぁ?」



「未開拓とか、超面白いじゃん。丁度俺も、最近フツーの子には飽きて来た所なんだよね。」



…この人は何を言ってるんだろうか?

なんか怖いからあんまり近付かないでほしいんだけど…。

そんな私の思いとは裏腹に、誠くんはどんどん私に近付いて来て…気が付くと私の体は壁際まで追いやられていた。



「此処でヤッちゃう?俺は部屋でもいいけどさ…」



耳元で囁かれ、誠くんの息遣いを直で感じてしまう。


近い近い近い近い近い…!


私と誠くんの顔の距離は後数センチ。


すこしでも動いたら唇と唇が触れてしまいそう。



「ほら…早く。」



昨日の可愛い誠くんとは違って、妖艶な誠くんに不覚にもドキドキしてしまう。


そして、ホントに後何ミリかで唇が触れそうになった時………


ドカッ



「………何してんだ、お前等。」



スゴい音と共に、眉間にシワを寄せた蒼空くん登場。


でも、そのスゴい音は蒼空くんがたてた訳じゃない。

…私だ。

誠くんにキスされそうになった私は、苦し紛れに膝を思いっきり上に上げた…ら、見事誠くんの股間に大ヒット。


あのドカッと言う音はその時の音だ。


てか…蒼空くんタイミング悪過ぎじゃない!?


これだけ見たら私が悪いみたいだもん!



「そ、蒼空ぁ…助けて…」



誠くんは股間を抑えながら蒼空くんに助けを求めてる。

…ちょっと!そんな事したら余計私が悪いみないじゃないの!私全く悪くないのに!



「おい、オカメ…さっさと着替えてリビングに来い。」



何で…!


私悪くないってばぁ…!!!!



「返事は。」



「…はい。」



誠くんを見たら、ふふんと勝ち誇ったような笑みを浮かべてる。


一番悪いのは誠くんなのに!



「誠。お前もだぞ。」


…やったね。



「えぇ!?俺も!?」



「当たり前だ。返事。」



「…………」



「誠。」



「……はぁい。」



そしてこの後、私と誠くんは正座をさせられ、30分間みっちりと蒼空くんのお説教を受けたのでした。



キーンコーンカーンコーン…



只今、ようやく4限目が終了。

これから昼休み。

私が通う此処、新蘭学園は朝は「ごきげんよう。」で始まり、登下校は送り迎えの車が校門へとズラリと並ぶような日本有数のお金持ち校。


家を飛び出して来た私だけど、一応大企業の社長令嬢なので、学校は大人しく此処に通っている。



「はぁ…」



「あら、かんなさんったら。そんなに大きな溜息をついたら幸せが逃げて行きますわよ。」



私が溜息をつくと同時にクスクスと笑いながら話しかけてくるのは、私の取り巻き達。


こう言うお金持ちの世界には上下関係あって…大企業の子供がいたら、その人に少しでも気に入られようと子会社の子供達が近付いてくると言う息苦しい関係。


私の家は世界にも進出しているような大企業のため、当然入学した途端に取り巻きがついてきた。

…友達だなんて思えないけど。

でも、その中にも友達と呼べる子が1人。

その子は取り巻きでも何でもない。

私と幼稚園から高校までずっと一緒の親友だ。



「本当、どうしたんですの?かんなさんが溜息をつくなんて珍しいですわね。」



今喋ったのが私の親友。

見た目は小さく、ふわふわしていて超美少女…まさに天使の様。

でもそれは見た目だけなんだけど。



「オホホホ。華恋さん?早くいつもの場所へ行きましょうか。」



私達のお昼休みは私と親友だけで過ごすのが決まりの様なもの。

取り巻き達はそこに入りたそうにこちら見てるけど…いつも気付いてないフリをしてる。


いつもお昼ご飯は屋上。
この学校では珍しいお弁当持参で。



「あぁー!くっそ疲れた!何だよ、あの喋り方!マジキツいぜ…」



…まぁ、これが私の親友の本性。


表は正真正銘のお嬢様だけど…裏はある暴走族の幹部らしい。


この子の名前は朝比奈華恋(アサヒナ カレン)。

華恋も私と一緒でお嬢様の生活に疲れを感じている1人だ。

だからグレてしまったんだけど。
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