彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
「郁ちゃん……ねぇ、郁ちゃん泣かないで」
トコちゃんが、僕をのぞきこんだ。
僕のなみだがうつっちゃったのか、トコちゃんまで泣いちゃいそうだ。
トコちゃんがべそかきの僕の手を、ギューッとにぎってくれた。
そして、───「そうだ! いいものあるよ!」
と、急にポシェットの中をガサゴソしはじめた。
「はい! 郁ちゃん、あーん!」
トコちゃんがそう言って、泣きそうな顔からニコニコにかわるから、
僕もすこしほっとして、おおきく口を開けた。
すると、………口の中にコロコロっと、あまくてしあわせな味。
「!! ……あまい」
それを見て、トコちゃんがふふっと指をたてて、言った。
「ちっちゃくてさんかくは、元気が出るおまじないなんだよ!」
「?? ───なぁに?」
「えへへ、これ!」