キミのイタズラに涙する。


涙声でつぶやく言葉に梓は言う。


「沙良……手、震えてる

たぶん隆平が一番に気づいて言ってくれたんじゃないの?」


「……っ……ぅ」


涙はポタリ、ポタリと流れて私の手に落ちた。



「うう、本当は怖かったの……っ、イキナリ隆平が苦しみ出して

すごく怖かったの……」


薬の副作用。

調べてはいたけれど

実際にそれを目の前にして私は心の底から怖くなった。


「何もできなかった、一歩も動けなくてただ体が震えて

どうしようって……」


甘く見ていたかもしれない。


隆平を見るのが怖くなって息をのんだ。

震える手を思わず後ろに回した。

< 249 / 349 >

この作品をシェア

pagetop