先輩×後輩
「健太…」

健太だったんだ

俊くんじゃない。

健太だった。


「久しぶりだな」

「う…ん…」

あたしは涙を堪えながら返事した。

健太とは、俊くんと付き合ってから話してない。

なんとなく、気まずかったんだ。


「喧嘩でもした?」

健太はあたしの隣に座りながら言った。

「ううん…あたしが一方的に怒ってるだけ…」

怒ってるっていうより、悲しいのほが正しかったのかもしれない。

「そっか。うまくやってるんだと思ってた」

それは海に行った日までだよ…少なくとも…

「健太ぁ…」

また涙が出てきた

「今日だけ特別に肩かしてやるよ」

「うわぁぁぁんっ…」

あたしは健太の肩にもたれかかりながら声を出して泣いた。

けど、涙は枯れることを知らなくて。

あたしはなかなか泣きやめなかった。

< 190 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop