先輩×後輩


「あ、始まったみたい」



真っ暗な空に、色とりどりの花火が咲いていく。


初めて、俊くんと一緒に見る花火。


来年も、俊くんと一緒に見にこれたらいいな…



「さくら…こっちむいて」



耳元で、俊くんの小さな声が聞こえる。



「ん?」



花火にむけていた視線を俊くんに向けると



「え…」



一瞬にして合わさり、一瞬にして離れた唇。


何が起きたか理解できたときには、俊くんはもう花火を見ていた。


ずるいよ…


不意打ちなんて、ずるい…



「…ばか」



あたしは、まだ肩にのってる俊くんにそう呟いて、花火に目をむけた。


あたしと俊くんの夏は、まだまだ始まったばかり――――

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