御主人様のお申し付け通りに
ふわっ…ふわっ…ふわっ…

敷き詰められた風船の中で、身体全体で飛び跳ねてる感じ。

そこで、今の優しい永田であるタイミングで、私のお願いを聞き入れて貰いたい。

私は絡まった指先ごと、永田の頬に触れる。

「…永田にお願いがあるの…」

「…またか?…」

「私、永田と住んでもいい?」

だって住む所、マジにないもん。

……。

永田の動きが、一瞬止まった。

「ダメ?」

「…だから何度も言ってんだろ…おまえの住む場所は、俺の家しかないって…」

私は頷いた。

今ね、やっと自分で理解できた事があるの。

いつも、コイツの言いなりに行動しちゃうのも。

いつも、コイツの視線を外せないのも。

「永田っ…」

キスして欲しい。

…チュッ…

そう思ったら、キスしてくれて。

いつも、真剣な目を向けてくれる永田を私は…。

「気安く呼ぶな…」

永田は私の肩に頭を乗っけて、睨み付ける。

そして、そのまま更に奥へと入り込む。

「…好き…」

永田を好きだという事が、永田の洗礼でやっと理解できたの。

「…もう限界だ…」

私はギュッと膝を永田に巻き付けた。

「…や、やめろ…それはっ…」

そう言われて、また更にギュッギュッとわざと脚を巻き付ける。

「キッ…キツイ…ヤバイ…」

永田の息が荒くなって、一気に苦しそうな顔をする。

その表情に私はシメシメと満足する。

「…っ!」

永田は慌てて取り出した。

永田はグッタリと私の隣りに、うつ伏せて横たわる。

そしてチラリ見。

「さっき、何か言ったろ?」

「えっ?何かって?」

とぼけると、

「まぁ、いいや」

そして頬杖を付いて更に、ガン見。

だから一応報告。

「実はね、永田が心配してる元旦那の話なんだけど」

「心配なんてしてねーよ!」

ツッコミは無視して。

「元旦那、転勤するからどのみちもう会えないの」

「会えない?」

睨み付けられたから、

「違う違う。もう会わないの」

私は苦笑いをした。
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