御主人様のお申し付け通りに
「へぇ~、これで完全に捨てられたか…ザマねぇな、おまえ」

永田は、私の鼻先を摘まんで嘲笑った。

「嫌な言い方。本当は嬉しい癖に」

「はぁ?嬉しい?…なんだそれ」

私も横になって、永田の顔を見つめた。

「ねぇ、永田…」

「もう、お願いは一切聞き入れん」

「お願いじゃないよ。洗礼ありがとうって言いたかったの」

「…バカじゃねぇの」

永田は布団に顔を埋めて、表情を隠した。

私は永田の肩にキスして、

「絶対誓うね」

「…何を」

「何をって。永田の思いに添う事を」

「俺の?」

「だって、永田だけだもん。いつも真剣に怒って、あぁしろ!こうしろ!言う事聞け!って言ってくれるの」

「ムカツク」

「しかも俺と住め!だなんて。みんな言うだけ言って冷たいし」

「……」

「永田が、そんなに私の事を意識するから、私も意識しちゃう。で、今の洗礼でやっと気持ち的な言葉が見つかったの」

「誰が意識だ。何言ってんだ、さっきから


無視無視。

「永田は私の事、好きなんだよね?だから、私も永田を好きだって、やっと気が付いたの。アハハ☆」

「おい、ちょっと待て」

永田はバサッと起きる。

「勝手に決めんな」

「好きじゃなきゃ、こんな事求めないでしょ。明らかに」

私は微笑んだ。

「……」

「洗礼で晴れて恋人同士になった。永田の思いに添う事ができたって訳でしょ?アハハ☆」

「アハハじゃねぇぞ。ざけんな、ボケ。勘違いすんな、チクショー!」

照れてる照れてる。

「意味分かんねぇな、コイツ。頭がパニクるだろが」

永田、動揺しまくり。

ふふふっ…ぬははっ…ブッハハ!

「うけるー!」

「名前のある関係なんて、どうでもいいわ。いいか、おまえ俺と住むって事は俺に忠誠を誓うという事だぞ。笑ってられるのも今のうちだ。おまえは犬や猫と同じなんだ。俺の言う言葉は絶対だからな!」

ド突かれても知るか。

私は腹を抱えて笑った。

「聞いてんのかボケ!」

「あぁっ?なんだってぇ?」

私は耳に手を添えて、永田の肩に軽々しくもたれた。

「御主人様のお申し付け通りにこれからはしろ!いいな、分かったか!」

「御主人様ぁ~ん☆」

「そうだボケ!」

永田の怒った顔ってば、超可愛い。

「ニャンニャン♪永田様ぁ♪私は永田様のお申し付け通りに致しますぅ~ん♪」

ふざけて、猫のふりして永田の乳首を摘まんでやった。

「ふがぁ!…や、やめろ!…」

と、声をひっくり返すから、またまた可愛い奴だ。

「コイツ、もう一発ブチ込んでやる!」

私は押し倒された。

「だけどその前に…ちょっと休憩…」

永田は私の胸にまた、あの時みたいに顔を埋めて目を閉じた。
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