御主人様のお申し付け通りに
「料理か、料理はいつも、こないだみたいに二人で作ろう。掃除は俺がする。洗濯も俺がやる。トシコは気が向いた時にやれ」

気が向いた時…か。

「トシコは人のために自分を犠牲にしたくないんだろ?俺はトシコのためなら犠牲になってもいいと思ってるから、俺がやるよ」

ギュッと抱き締められた。

「永田らしくない」

「手放したくない一心だからな」

もぉ~っ。

どんだけ私の事が好きなんだよぉ~!

永田、人が変わっちゃったよ。

…何か優し過ぎて、面白くなーい。

「だけど、嘘は付くなよ?」

いっ…!

さっそく嘘をかましてるから、どうしよう。

「うん」

ニッコリ笑って、ゴマカシで永田の口唇にキスをして上目遣いで見つめると、

「…くぅ~…やっぱ好きだ、俺」

「うわわっ!!」

私はそのままでベッドの上で、押し倒された。

鼻息を荒くして、至る所にキスを落とされる。

そして、

チュューッ!!

首筋を、きつく吸われた。

「やぁん」

「これからエッチする度に、キスマーク付けてやる。浮気防止」

「そんな事しないもーん」

浮気って、そもそもどこまでが浮気なの?

人間何かしら、浮わついてるってのに。

「ちょっ、ちょっと…俺の触ってよ」

出た出た、Sキャラ。

だからって、簡単には触る訳がない。

「…なぁ…トシコ…いいだろぉ?」

「しょうがないなぁ~…」

永田の睫毛が、くすぐったいよ。

口唇を尖らせて、腹の上に曲線を描く。

吹きかけられる鼻息が、敏感なお臍の穴にかかった時に、ドキッとした。

「ヒヤッ…」

「…本気で愛してる…おまえの事…」

いつもの意地悪な永田が、やたらと口説くような言葉を何度も吐息混じりで言うから…。

「ね、永田ぁ…」

「なんだ?」

問い掛けてくる声のトーンも、甘くてトロけちゃうよ。

「お願いがあるのぉ…」

「またか」

「あのね、我慢できないよぉ…」

「それで何?」

聞き返すなんて、意地悪だな。

「欲しいよぉ、永田ぁ…」

「いいよぉ」



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