御主人様のお申し付け通りに
「味も形も未完成な唐揚げ。おまえらしくて俺は気に入った」

未完成だとか言われたし。

自分の中では完璧なのに。

「永田ぁ、相変わらず、あんたのモノの言い方、胸が痛くなる」

私は見上げながら、永田の口唇を指先でなぞる。

普通に、美味しかっただけでいいのに。

悪い所があったら、悪いって言っていいんだよ?

私は、あんたの言う事ならば、きちんと素直に聞いてあげるんだからさ。

「トシコ…風呂入ろっか」

永田の言葉に私は頷いた。

お風呂場に入って、シャワーの蛇口をひねったら、後ろから抱き締められて、肩にキスされた。

「なぁ…、洗いっこしよう?」

「うん…」

ボディーソープをお互い片手に救い上げ、向き合う。

永田は私の胸を揉むようにマッサージしながら洗う。

私も永田の広い胸を窓を拭くように大きく洗う。

何故だか永田とは、違和感もなくお風呂も一緒に入れちゃう。

お風呂は、おトイレと同じで一人の空間だから、本当は一人で入りたいんだけど。

永田だと、何だか小さい時の、お父さんとお風呂に入ってるみたいに、妙に落ち着くんだよね。

「おまえ、やっぱ可愛い」

「可愛いなんて言われる年じゃないし」

「バーカ、小さい胸が可愛いって意味だよ」

「…あんた本当、殴っていい?」

布団に入って眠る時も、腕枕をして囁くように、たわいもない話をして私が眠りでキモチよくなるまで起きていてくれる。

「永田ぁ…愛してるって、言ってみて?」

「ん?…愛してるよ、トシコ」

はぁ~。

落ち着く。

永田の側に居ると…。
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