御主人様のお申し付け通りに
「ね、ね、ねっ…照れてるでしょ」

「別に」

私は猫みたいに、永田の背中にまとわり付く。

「…これって、出来合い?それとも手作り?」

「おい!」

私は背中をバシバシ叩いた。

なんて事を言うの、コイツはさぁ!

ひどいって!マジに傷付くって!

「こんな事までするなんて、トシコ一体どうしちゃったんだよ」

と、何故か笑ってるし。

「手作りに決まってるでしょ?日頃、永田に愛されてるお返し」

「はぁ?おまえが俺を好きなんだろが…」

私はお箸を手渡したら、永田はさっそく食べてくれる。

一口目…二口目…それから三口目…って何か、そろそろ言えよ。

気になって永田の食べる隣りまで行って、口元を見つめる。

だから、何か言えよ。

「…で?…で、どうなの?」

「ん?飯、おかわり」

「それって、美味しいって事?」

永田は黙って箸を一端置いた。

「……」

すぐに答えてくれないから、本気でコイツは鬼畜やぞ。

永田は流し目で私を睨む。

そして、

「ウ・マ・す・ぎ・る」

キャーーーッ!!キャーーーッ!!

嬉しいーーーッ!!

「ありがとな」

「うんうん!全然いいの!」

「また俺のために、自分を犠牲にしちゃったな、おまえ」

「やだなぁ、もぉ~、こんな事はお安い御用ですよぉ~、そらぁ永田様のためですも~ん」

そうそう、あんたのためにしか私は犠牲にしないからね。

「よしよし、賢くなったな」

と私の頭を撫でた。

えへへ、誉められちゃった。

喜ぶ私も単純だけど。

そして一緒にやっと食事を取る。

プレゼントを渡して、またまた永田は私に不自然な笑顔を向ける。

爆笑したいのに、絶対我慢してるって感じがして、こっちから言ってやる。

「笑いたきゃ笑えば」

「いやいや、俺はおまえみたいに失礼じゃないから」

「そんな顔して中途半端でイヤッ」

ふてくされてやる。

「…やっぱごめん、ダメだ…我慢できん…クソおもしろ過ぎる、おまえ…」

と、さすがに腹を抱えて肩を激しく揺らしていた。

恥ずかしいみたいで俯いて笑ってる。

永田って怒ってる顔もカッコいいけど、笑ってる顔も結構イケテるじゃん。

眩しいくらいの笑顔に、私も何だか釣られて爆笑していた。

「だってさぁ~、鍵が見つからないとか言って、あんたにキレられるのはムカツクじゃんよぉ~」

「アハハッ、そんな事もあったなぁ…それにしても…はぁあっ…可笑しいな…おまえはいつもいつも…楽しいよ、全く」

楽しいって言ってくれて、嬉しいな。

どうやら今夜の誕生日は、大成功みたい。
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