クレナイの歌
クレナイの歌
***


この学校へ転入して、一週間は過ぎただろう。
窓の外を虚ろに眺めながら、少年はそっと溜め息をついた。

放課後の誰もいない教室にただ1人。帰りもせずに、ぼーっと窓の外を眺めている。

毎日のようにこれは続いていた。


何故だろう…。


この暮れてく時が、空から深い哀しみを、どの時間よりも映しているのではないだろうか。

彼は黄昏時ともいうこの時間帯が一番苦手だった。

苦手というよりも、嫌いだ。
少し怖い。

「なんで……」

自分でも理由はわからない。
ただ頭の奥はキリキリと痛む。

過去の記憶が溢れる。それを防ぐように。

それから一時が過ぎ、彼はやっとカバンを手にして席を立った。

「帰るか……」


夕暮れ時。紅に染まる帰り道。
だんだんと伸びていく自分の影を見つめながら。


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