クレナイの歌
もうすぐ冬になる。
白い吐息が季節の別れを物語っていた。
以前に増して暗みがかった空を仰ぐ。
彼は最後にあの丘へ向かった。
そして彼女がいることを、望んだ。
暮れないの時は過ぎ去り、彼岸花も静かに眠っていた。
これほどの静寂と寂しさを、どう言葉に表しても足りない切なさを、忘れることはないだろう。
葉をかき分けていくにつれ、見慣れた丘が少しずつ見えていく。
闇に隠れた彼岸花と、聞こえたのは悲しいすすり声…のような、歌声だった。
ぴたりとその声が止まる。
彼女はそっと振り返った。
「き…しべ……」
涙でくしゃくしゃになった朱里と、悲しげな瞳を向ける岸辺の、互いの視線がぴたりと合う。
まるで初めて出会った時のようだった。
でもその時と違う。