クレナイの歌
「俺も……そんな感じだよなあ」
朱里ほどまではないかもしれないが。
頬杖をついて小さく呟いた。
「え?」
「いや、別に」
「あー!でも朱里って奴なかなか可愛いから、物好きの男子にはちょっと人気だぜ」
「じゃあ俺も、物好きか……」
「え、やっぱ好きなん?」
友人はからかいよりも驚きで口をポカーンと開けた。
「わかんね」
さきほどと似た返答に、肩を落とす。会話がなかなか続かないことに少し呆れを感じる。
本当にこの転校生も不思議なやつだ。
積極的に話しかければ返事はしてくれる。でも曖昧で、どこかふわふわと浮遊しているような返答ばかりだった。
定まった言葉がまるでない。
なかなか深入りをさせない様子に、友人はさらに肩を落とした。