ふんわりとシャンプーの香り………/完
その時、後ろからギュッと誰かが抱きしめてきた。



頭を撫でながら………………








そっと、耳元で


"ごめんね。"と聞こえた。






そして、

"俺、この匂いが忘れられなくて…………

安心出来る、この香りをもう一度でも、
嗅ぎたかった。

そして、このサラサラな髪の毛にも。

触れたかった。君に……………………"


その香りは、私が一目惚れして買った
シャンプーだ。

あの、甘く、優しい雰囲気のある匂いに
彼も、私も、はまったのだ………………



彼の、その言葉に、ポロッと
涙が頬に落ちた………







"私も、その大きな手が暖かいその手が、
忘れられなかった……………"






そして、2人の影は、






明るい町中へ、消えていった………………






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