モン・トレゾール

―――


「ちょっと! 一体どういうつもりよ」


濡れたタオルを飄々(ひょうひょう)とした様子で絞る戸田さんの後ろに立つと怒りに任せて大声を出してしまう。


「どういうって?」


アンタは余裕ですっ呆けてられるでしょうけど、タイミングよく電話がかかってきたからいいようなもので、あのまま三人で居たらこっちは絶対大変なことになってたのよ。


「いつ私が戸田さんと付き合うって言ったのよ?」


「……んー、今朝」


「そ、そんなこと一言だって言ってないでしょ」


くねくねに絞られたタオルを私に戻すと、目の前の男はニヤリと笑った。


「似合ってるよ、その服」


予想に反し急に真剣に見つめられると、固まって動けなくなってしまう。


「初めてなんだろ、男と付き合うの」


この隙にと言わんとばかりに、この男は次から次と信じられないことを口走る。


「その服に免じて、付き合ってやるよ」
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