モン・トレゾール

「オマエさぁ」


”やっぱり”――そう思った瞬間、戸田さんはまた想像とは違った言葉を続けた。


「好きな男いる?」


「好きな、人?」


お、驚いた。こんなカップル限定のお店に連れてきてまで嫌がらせしようとしてるとばかり思ってたのに、こんな話してくるなんて。


私に恋の相談をしたかっただけなのね! 会社じゃ恥ずかしいからとか? なーんだ。結構可愛いとこあるじゃない。


「……なんだよ、人の顔ジロジロ見やがって」


フフッ、照れてる、照れてる。よし。ここは私が人生の先輩として色々アドバイスしてあげないとね。


「ねぇ、戸田さんの好きな人って、昨日マンションで会った時に話してた人?」


荷物を取りにきただけだとか言ってたけど、あの時の戸田さんは会社でのクールな姿とは全然違った。


確証はないけど。戸田さんの恋の相談には、多分その『りか』って人が絡んでるような気がする。
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