モン・トレゾール

周りの女の子達は、それぞれ相手の人の肩にもたれ掛かったり、指を絡めたりしてお互いがお互いの気持ちを確かめあってるように見えた。


そんな中で、さっきから口数が少ない戸田さんと私の見る方向は同じだ。


「戸田さんも、クラシックとか聴いたりするの?」


「……ああ、たまにな」


「えっ? ホ、ホントに」


「なんだよ、それ。オマエから訊いたんだろ」


「そ、そうだけど」


あまりにも真剣にあのピアノを見てるから、冗談でからっかてみようって思っただけなのに。


「でも、あのピアノ――ママが弾いてたのによく似てる」


よく私にキラキラ星変奏曲を弾いてくれたあのピアノに……


「”ママ”ってオマエの母親か?」


今の今まで私にはまるで興味がないようにグランドピアノを凝視していたから、戸田さんからのそのいきなりの質問にハッとしてしまう。


「……またバカにするんでしょ?」


『ママ』なんて言ったから、また『オマエ何歳だよ』とかって言ってくるに決まってる。
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