モン・トレゾール

*

……マズい、マズい、マズい、マズい


この様子じゃ、完全に怒ってる。


まさかここに理が来るなんて思ってもみなかったけど、よく考えたら会社の前まで迎えに来てた永井(なが)さんが連絡しててもおかしくないんだった。


……ど、どうしよう


これは完全に私のミスよね? あまりに戸田さんが小さい男だったから、どうにかして応援してあげようって思うがあまり、時間のことなんてすっかり忘れちゃってたわ。


「今コイツの腕掴んで、何しようとしてた」


全力で押さえてるのに、凄い力。


これ以上、圧(お)されたら後ろに転んじゃいそう。


彼の視線の先はさっきからずっと戸田さんにあって、私のことなんて見えてないみたい。


「あ、あのね。理、これには色々理由があって」


「おまえは黙ってろ」


「……」


こ、怖い。


でも、ここは私が止めないと。お店の中で、なにしでかすか分かったもんじゃないわよね?
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