モン・トレゾール

「ふぅー」

テーブルの上にグラスを置くと、額に腕をあて脱力したようにソファーに深く腰をかけた。


浩からの電話は、見たくない現実を突きつけられものだった。


目を閉じると――あの夢の続きのように、考えたくない最悪なパターンが頭の中に浮かんでくる。


もうあんな彼女の姿は二度と見たくない。




「……理?」


その声に驚き目を開ける。


――いつの間に起きたんだ? 全然気配を感じなかった


「どうしたの? 眠れない?」


真ん中のボタンを二つしめただけのネグリジェ姿の彼女が、心配そうに下から顔を覗くと、その甘い声に吸い寄せられるように彼女の瞳を見た。


この様子だと浩との会話は聞かれてないな。


トロンとした瞳で俺を見つめる彼女を見ると、薄い布の中につい手が伸びそうになる。


「朝も早いんだから、もう寝ないと……きゃっ!」


寝惚けた様子で話す彼女の柔らかな胸に顔を埋めると、その心臓が早く脈を打つのを感じた。
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