モン・トレゾール
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コポコポとコーヒーメーカーから出来たてのコーヒーが落ちる。
酸味の強いその香りにあてられながらも、頭の中はさっきの話のことでいっぱいだった。
ちょっと思ったことを口に出しちゃっただけなのに。
理ったら、凄く怒ってた。
あの後、話しかけても全部無視してたし。
そもそも、どうして私は出ちゃダメなのよ。
「……なによ、あんなに怒らなくてもいいじゃない」
「アンタ、まだそれ落としてなかったの?」
私のひとり言に横から加わるこの声は、私より後輩のくせにパーティーへの出席を許された今もっとも憎らしい男だ。
「そうよ、悪い? それよりも、普通逆だと思わない?」
「なにが?」
このしれっとした態度に腹の虫がおさまらない私は、いつもよりもムッとしてしまう。
「アナタの方が後輩なんだから、こういうのはアナタがやるべきじゃない?」