彼の手
木崎さんの優しさに涙ぐんでしまう。


『余計なお世話かもしれないけど、オレで良かったら話聞くよ』

「木崎さん、わざわざお客さんにそこまでしてくれるんですか?」

『──詩織ちゃんだからだよ』

「えっ?」

『お客さん全員にこんなことしないよ。詩織ちゃんだからだよ』

「あたしだからですか?」

『──で、今の心境はどうなの?』

「どうって…。辛いに決まってるじゃないですか…」


あたしはボロボロと涙をこぼしていた。


『今から会おうか?』

「えっ?」

『オレじゃあ役に立たないかもしれないけど頼って。1人で泣いてる詩織ちゃんを放っておけない』


それから、木崎さんがカーナビに住所登録すれば迎えに来れるということで、住所を教えた。

そして20分程して木崎さんは来てくれた。



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