再会の誓い
「さよならのキスはしない」
微笑みながら、彼がきっぱりと拒絶する。
傷ついて瞳を曇らせる私に、彼がそっと顔を近づけてきた。
「さよならじゃなくて、これはまた会おうの誓い」
そう言い終わると同時に、彼の唇が優しく触れる。
愛しむように何度か唇を重ね合わせると、私たちは同時にお互いと離れた。
「すぐに迎えに来るから」
彼が私とコツンと額をくっつけて、小さくつぶやく。
迎えに――…
その意味を理解した私の鼓動がドクンと高鳴った。
「いってらっしゃい」
顔をあげた彼に、精いっぱいに微笑みかける。
彼は私に笑い返すと、床に落ちた鞄をゆっくりと拾いあげた。
― Fin ―


