再会の誓い


「笑って」

その言葉に、私の表情が歪む。


「だって、笑ったら行っちゃうんでしょう?」

泣きそうな声でそう言うと、彼が淋しそうな目で笑って困ったように私の頬を撫でた。


淋しいのは私だけじゃない。

私を見つめる彼の瞳が。頬に触れる手のひらがそのことを切に訴えてくる。


行かないでほしい、と。

苦しいほどにそう思うけど、呑気に笑っていた彼の気持ちが本当は私と同じなのだと知って、ずっと胸につかえていた不安がとれた。

フライトの時間が迫る中、私のわがままだけで彼を引きとめられ続けないことも頭ではちゃんと理解している。


「最後に、もう一度キスして。さよならのキス。そうしたら、笑う」


頬に触れる彼の手に、私も手を重ねる。

彼は重なった私の手を握りしめると、優しい目をして微笑んだ。



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