キスにスパイスを、キスをスパイスに
――パクリ


口元にある彼の指を私は衝動的に銜えていた。


「……奈々」

「ん?」


そのままの姿勢で、彼の顔を覗き込みながら返事をすると、すぐに指を引っ込められてしまった。触れていた箇所から感じていた彼の体温まで遠のいてしまい、寂しくなった。名残惜しむように、彼の手を目で追っていた。


「……こっちを見ろよ」
という言葉と同時に、後頭部を抱えるように引き寄せられて、唇には再び温かいものが触れた。今度は指ではなくて、彼の唇。


最初は啄ばむようなキスだったけれど、角度を変えながらどんどんと深くなっていく。それと同時に身体には力が入らなくなってきて、洋輔さんに支えられていないと倒れこんでしまいそうだった。


「……ん……ん」


私の唇から漏れるのは、吐息と意味を成さない声。


完全に力が入らなくなってしまった私を、彼は布団の上へと移動させ、そのまま組み敷いた。


今私の目に映るのは、欲情した目をしている洋輔さんただ1人。洋輔さんと見つめ合っていた目を逸らし、先程まで触れ合っていた唇に視線を落とした。


あっ……。洋輔さんの様子に違和感を覚えた。だって……


「あーあ、私のリップ。洋輔さんに盗られちゃった」


たっぷり塗ったはずのリップクリームは、洋輔さんの唇にたっぷりと移ってしまっていた。いつもと違う彼、なんだか凄く魅力的に見えた。彼女のリップがたっぷり付いちゃってるとか……いつもより色気倍増。


「じゃあ、返してやるよ」


そう言ってキスがまた降ってくる。あー、このまま彼に溺れたい。


「もっと……ちょうだい」


私の上に覆いかぶさる彼を引き寄せて、今度は私からキスをした。







2人の熱い夜は、これから始まる。







キスにはちょっとスパイスを。

そして、キスをスパイスに。

今夜も2人の愛を深めましょう。



『キスにスパイスを、キスをスパイスに』Fin.
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