続・心友。~もうひとつの想い~
その手元をじっと見つめる彼女の目から、涙がひと粒ポタッとこぼれた。
それを隠すように、三角座りのひざに、額をコツンとくっつけるマリア。
それでも小さな吐息がもれるから、彼女が泣いていることが、堂前にはわかってしまう。
そう言えば……
今見たマリアの画像の中には、悟とのツーショットが何枚も残されていた。
他にも大勢の男と付き合ってきたはずなのに、悟との写真だけが大切に保存されてあった。
『マリアは本当は、まだ悟のことが好きなんかもしれへん……』
堂前の脳裏に、いつかそう言った藍の言葉が蘇る。
腕を組み、仲良く寄り添うふたりの姿――。
悟の笑顔。
幸せそうなマリア。
たぶん同じような写真が、本当なら悟のケータイの中にも残されていたはずだ。
けれど悟は、それを全部消していて
なんの画像も残されてはいなかった――。