個人的事情につき“それ”禁止

上司であり年上の彼に似合う女になりたい。

“いい女”と言われるように。

自信をもって彼の隣に並べるように。

メイクも服装も…体型も。

努力している…つもりだ。

彼はそれに気付いてくれているのだろうか。

それとも。

そんなこと、どうでもいいことなのだろうか。

…ひとり、唇を尖らせ考える。





「…おい」

「はい?」





ふいに感じた視線は彼のもの。

…おかしいな。

仕事中はこんな話し方しないのに。





「それ、やめろ」

「なんですか?」

「それだ、それ」

「それ?どれですか?」





彼が言っている“それ”がわからない。

私に何をやめろと言っているのだろう。





わからなくて首を傾げていると。

彼はイライラしたように私の顎を掴み、グイッと持ち上げた。



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