淋しいお月様
ライブ会場は、2000人ほど入るキャパだった。

オレンジ色のライトの中、お客がみるみるうちに席を埋めていく。

私たちの席は、7列目の真ん中だった。

ファンクラブに入っているという、ユアさんの伝でこんなにステージから近い席を確保できたという。

会場は、これから始まるライブを前に、みな興奮状態にある。

かくいう私も、こういうライブは初めてに近かったので、ある種の高揚感の中にあった。

「あれ、ユアさん、靴脱ぐの?」

白いワンピースに、パンプスといった出で立ちのユアさんが、席に座るなり靴を脱ぎだした。

「うん。スニーカーに履き替えるの」

「履き替える?」

「パンプスで立ちっぱなしだとキツイから」

なるほど。私は納得した。
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