淋しいお月様
やがて、舞台上のスタッフが袖へひっこんで、ライトが暗転した。

「もうすぐだよ、葵ちゃん、星羅ちゃん。ひゃ~ん、どうしよ~」

泣きそうなユアさん。そんな彼女はいつにも増して可愛らしい。

ビーーーーッと会場に音が響いた。

暗い舞台の上で、何やら人影が動いている。

ギターやベースを掲げるひと、ドラムセットに座るひと、そして、ピアノに座るひと。

と,、突然ぱっと舞台が明るくなった。

軽快なピアノのイントロが鳴り始める。

「キャーーーー!」

「タクミ~~~!」

悲鳴にも似た歓声が場内を埋め尽くす。

ユアさんもすっくと立ち上がり、大声で彼の名を叫ぶ。

「タクミ~、セイゴさ~~ん!!」

え?

セイゴ、って……。
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