淋しいお月様
身体全体に、重い鉛がある。

首筋には、ぬめりと這うヤモリがいる。

いや……嫌っ。

「キャーッ」

ん……、今の声は、誰の?

私はうっすらと目を開ける。

暗い室内。ここはどこ――?

「……ら、ちゃん。星羅ちゃん?」

私を呼ぶ声がする。

優しくて、暖かい、夕陽のような声。

「どうした?」

ぎゅっと手を握られた。

ああ、ここは私の家だ。

私はベッドに横たわって、眠っていたのだ。
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