淋しいお月様
だけど、全身が震えていた。

「どうした? 大丈夫?」

「……怖い夢、見てて……」

私は自分で自分を抱きしめる。

「どんな夢? 話して」

「……襲われる夢」

正直に私が答えると、セイゴさんは、部屋の橙色の電気をつけてくれた。

「……大丈夫、じゃ、ないよね」

心配そうに私の顔を覗き込むセイゴさん。

「ね、一緒に寝て」

私はダイタンな発言をしていた。

「寝て、って……」

セイゴさんは床に布団を敷いて眠っていたようだ。

「そういう意味じゃなくて、ただ、添い寝してくれるだけでいいの」

「うん、解った」

セイゴさんは私のベッドの中に入ってきてくれた。

そして、ぎゅっと手を繋いでくれた。

何か、英語の子守唄を歌ってくれた。

そしてまた、私は安心して、眠りに落ちることができた。

怖い夢はもう、見なかった。
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