淋しいお月様
私は、怒りでわなわなと震えていた。

仕事と、セイゴさんのことは関係ないじゃない。

それに、カード名義の本人だとウソをついた、鳴瀬の奥さんのことを責めるべきじゃないのかしら。

……もう、やってられないよ。

どうして、セイゴさんのことを持ち出すのだろう。

こんな職場、やってられるか……!

……なんて思っても、私は生活費を稼がねばならない。

辞めても、中々他の仕事にはありつけないだろうな。

私は、怒りをぐっと堪えた。

私が悪いのに、どうしてセイゴさんのことまで……。

もう、彼とはつきあいがないのに。

もう、多分二度と会わないひとなのに。

――涙が、出そうだった。

それが、悔し涙なのか、淋し涙なのか、解らないけれど――。
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