淋しいお月様
彼氏でもないし……友だち? なのかな?

同居人と云っても過言ではないし……でも、知り合って間もないし……。

考えてみれば、私とセイゴさんってフクザツな関係だ。

「うわ~。可愛いお弁当!」

「ほんとだ~」

私の背中越しに声が聞こえてくる。

「葵ちゃん、クマさん。ね、凄いよね、星羅ちゃんのお弁当」

「うん。すごい~」

「私たちも同席していい?」

葵ちゃん、クマさんと呼ばれたふたりは、どうやらユアさんの顔見知りだったみたいだ。

私も、ふたりの顔はなんとなくだけれど知っていた。

葵ちゃんと呼ばれた子は、ショートカットでボーイッシュな子。

クマさんと呼ばれた子は、ちょっと太めの、とっつきやすい感じの子だった。

「星羅ちゃんって、料理上手なんだね」

葵さんが言ってくる。

初めてしゃべったのに、”星羅ちゃん”なんて言ってくれるのが嬉しい。
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